『proto type』
MISSON1 VSイレギュラー戦 1 「くくっ…くくくっ…くくくっ…」 OMERの研究所の地下ブロックに一人の男が立っていた。男は正面に見える機体をずっと見ていた。 「くくっ…くくくっ……あっはっはっはっは!。」 突然男は狂ったように笑いはじめた。その笑いは人の笑い声かもわからない。 「できた…ついに…できた!。」 地下ブロックに響く男の狂った笑い声。それを聞いているのは男と正面に見える数体の機体だけである。 「さぁ…私に見せてくれ!、お前達の力を…最強の力を!。」 機体は何も答えない。しかし機体の目が一瞬光ったように見えたが男はそれに気付くことはなかった。 「準備はできたのか?」 突然後ろのゲートから複数の人物が現れた。リーダー格の男が喋ったが男は振り向かずに答えた。 「君達か…準備はできた。後は君達の仕事だ。うまくやってもらうよ、この子たちのためにもね…」 「了解だ。後のことはこちらで任せてもらおう。」 そう言い男達は退散した。 「そう…今は私の出番ではない…今はね…。くくくっ…」 男達がいなくなった地下ブロックで男の声だけが響いた。 2 GAの駐屯基地の一室に一人の女性がいた。女性は腰まである柑橘色と茶色の瞳を持っていたが最大の特徴は身長の低さであり、見た目だけでは14から15の少女にしか見えないことだ。女性はパソコンと向かい合って作業をしていた。ディスプレイに映っているのは自機であるリヴォークUである。女性の今回の任務の目的は自機の改善と実戦テストである。 「だいぶ軽くなりましたね〜。あとは実戦で確かめるしかありませんか。」 独り言を言いながらも次々とディスプレイをプログラムでいっぱいにしていた。機体を軽くすることは簡単なことではなく、軽くすることで機体のバランスが大きく変わることもある。それらを考えてやっている彼女は相当の実力、経験をしている証拠であった。 「失礼するぜぇ〜!」 突然大きな声をだしてドアを開けて入ってきたのはブロンド色をした坊主頭で身長は170後半の男だった。 「突然ですね〜。」 女性はそれに気にすること無く男の方に体を向けた。 「あぁ、お前は誰だ?」 男は女性を見た瞬間そう思うのも無理はない。GAの基地にまさか14〜15の少女がいるとは思わないからだ。だが名前を聞いた瞬間それはすぐに解決した。 「私ですか〜、私はサリアと言います。貴方はどちら様ですか〜。」 男はおっとりと話しているサリアに多少唖然としたがすぐに気を取り直した。 「アンタがサリアか。俺はライジングってんだ。よろしくな!」 「よろしくです〜。ライジングさん…なんか呼びにくいですねぇ〜、できればライさんと呼ばせてもらえますか〜」 「おぅ!いいぜ。で、この後暇か?」 「ライさん、まずはミッションの話をしましょうか〜。」 そう言ったらライジングは笑いながら言った。 「いいんだよ!そんなことはとくに気にすることではないだろ。」 そう言ってるライジングに多少唖然としましたがサリアはすぐに彼の性格を認識した。 「わかりました。では雑談でもしましょうか〜。」 「おぉ!あんたの話が聞けるたぁ俺もラッキーだな!」 笑顔になっているライジングを見てサリアは苦笑した。彼は素直すぎるがそれが彼の長所であり短所なのだろうと彼女は思った。もっとも彼はそんな彼女の気持ちなど知らずに次々と自分の話をしていた。それはミッション前のブリィーフィングとはとても思えない雰囲気だったが悪い感じはなかった。 3 クレイドル跡地に二人の人物がいた。一人は黒のマントを羽織っていて容姿がまったくわからない。もう一人は黄色の縁の眼鏡で髪は薄い赤でポニーテールの男性だった。二人の後ろにはノーマルとネクスト、さらに見たことのない機体があった。 「・・・・、本当に信用できるのか?」 ポニーテールの男は言ったが黒マントの男は頷いた。 「あの方がそう言ったんだ。信じるしかないだろ。それともゼン。お前はあの方のことが信じれないのか?」 黒マントの人物の言葉にポニーテールの男はすぐに反応して、声を荒らして言った。 「そんなことがあるか!!ぶっ殺すぞ、てめぇ!!」 ゼンは懐にあるサバイバルナイフを黒マントの男に向けた。黒マントの男はそれを見て小さく笑った。 「なら信じろ。なにも殲滅を目的と言ってないんだ、危なかったら撤退しろ。まだ戦力を失うわけにはいけないんだ。」 「解っている!あの方のためにすべてを懸けているんだ。こんな所で負けるわけないだろうが。」 ゼンはまだ興奮しているがだいぶ落ち着いていた。ゼンはサバイバルナイフをしまいネクストの元に向かって行った。 「なら頼むぞ、ゼン。必ず帰ってこい、必ずだ。」 黒マントの人物はネクストに向かっているゼンに少し強い口調で言った。ゼンは足を止めて振り向いた。 「絶対帰ってくるから心配するな!てめぇも任務があるんだろう。自分の持ち場に行けよ!」 ゼンの言葉に黒マントの人物は苦笑して自分のネクストに向かった。ゼンもそれを見て自分のネクストの場所に向かった 4 サリアとライジングは計画の打ち合わせをしていた。さすがに無計画ではいけないので雑談を中断して今回の任務の計画を立てていた。 「敵は情報によりますとノーマルが殆どみたいですね〜。後はネクストと正体不明の新型機ですか〜」 サリアは懸命に情報を元に作戦を考えていることに対してライジングは興味なしという感じであった。彼にしてみれば作戦はあってないようなものと認識しており現場によってどう動くかを考えるほうだ。しかし彼の行動は殆どが正面からの一撃必殺を目的をしており自分もそれしか考えていないのが現実だ。 「ですから…ってちょっとライさ〜ん、聞いていましたか〜」 サリアの言葉で我に返ってみえたのは少し怒っているサリアの姿だった。 「作戦なんて簡単だろ!敵を倒す、ただそれだけだろう。」 ライジングの言葉にサリアは呆れるしかなかった。たしかに普通のゲリラにはそれだけで終るだろう。 しかし相手は正体不明の新型機体とネクストがいるのだ。それだけで相手はただのゲリラ、テロリストでないことがわかる。さらに新型機の情報だと敵の新型機は大型ノーマルであり、ネクストの情報はまったくない。その状況を作戦なしで突っ込むのはバカのすることだ。だからこそ作戦の打ち合わせをするのだ。生き残る為に・・・ 「ライさ〜ん、若いうちはそれくらい思い切りが良いほうが好感は持てるけど、戦場ではもう少し周りを見たほうがいいですよ〜」 さすがにライジングも作戦なしで突っ込むのは無茶だとわかったのかサリアの話を聞くことにした。 「わかった、わかった。ちゃんと聞くよ」 「ではまずライさんには前衛で敵ノーマルを破壊してください 私も援護します その後はたぶん新型機が出てくると思います。私が敵をかく乱しますからライさんはその隙に一発お願いします ネクストは状況次第ですね〜」 「了解!で計画は以上か?」 「そうですね〜後は現場の判断だと…」 『リンクス、聞こえているか。イレギュラーを発見した。至急現場に向かってくれ。』 突然の通信で多少驚いたがすぐに二人は急いで格納庫に向かった。 5 『ふ〜ん。ここで戦うのですか…』 サリアが呟いた。場所はクレイドル跡地、過去に大空を飛んでいた巨大な飛行船だ。周りにはクレイドルの残骸が所々に散らばっている。 『おいっ、敵がいないぞ』 ライジングが言ったとおり敵が一体もいなかった。しかしサリアは警戒をしていた。これだけクレイドルの残骸が散らばっているのだからそこらに隠れているのだろう。 『そうですね〜静か…にはなりませんね〜』 その言葉とともにレーダーから複数の反応を見せた。数は15とそれなりの数である。 『はん!やっと出てきたか!悪いがすぐに片付けるぜ!』 ライジングのブレイクダウンがOBを起動させて敵陣に突っ込んでいくのを見たサリアはため息を吐いた。 『まったくですね〜』 そう言い、彼女のリヴォークUもOBを起動しブレイクダウンの後を追った。 『おらおらおら!この程度か!!』 敵陣に乗り込んだブレイクダウンは敵ノーマル部隊と戦闘していた。マシンガンと肩のロケット砲で敵を牽制して確実にパイルバンカーを当てていた。しかし敵ノーマル部隊の数の多く、少しずつダメージが蓄積されていた。元々ブレイクダウンは単機に対しては強いが集団戦になると弱い一面がある。 『くそったれが!』 そう言い敵を一機落とすがノーマルの数は減るどころか増えている状態である。 『ああもぅ!何なんだこの数は!』 確実にダメージが蓄積されていることに苛立ちを隠せない状態になっていて真横のノーマルが武器を構えていることに気がつかなかった。今此処で喰らったら致命傷になる確率が高かった。 しかし突然敵ノーマルの数が減っていた。そして真横のノーマルも被弾して撃破されていた。 『さすがAKもといLABIATAですね、腕によく馴染みますね〜』 リヴォークUの放った弾は確実に敵ノーマルを破壊していった。さらに後ろ盾を得たブレイクダウンも調子 を取り戻し敵を破壊していった。そして敵ノーマルは全機破壊された。 『ライさん、一人で突っ込まないで下さいよ〜』 『悪い悪い!いや〜助かったわ!』 反省の色が見えないライジングにサリアは重いため息を吐くしかなかった。 『まったく〜 あら?』 突然レーダーに大きな反応があった。それはノーマルより大きい反応だった。サリアとライジングはレーダーの反応した方向を向くとそこには大きな機体が見えた。新型機体はネクストより大きく右腕にマシンガン、左腕にレーザーブレードが装備されている。そして最大の特徴は背中に装備されている巨大なミサイルポッドであった。大型機体は両背のミサイルポッドを展開させた。両背のミサイルは拡散ミサイルタイプであり、発射されたミサイルの数は50発以上あり、誘導性を持っているタイプであった。リヴォークUとブレイクダウンはブーストを起動しミサイルの回避に専念した。ミサイル一つ一つを回避、迎撃をしミサイルを回避しきった瞬間大型機はリヴォークUに接近しマシンガンをばら撒いた。 『パルスマシンガンとは、すごいですね〜』 サリアの操縦テクニックによりマシンガンを確実に回避していった。しかしリヴォークUには決定打がなく大型機を倒すのが難しかった。大型機はリヴォークUに近づきブレードを展開した。ブレードの大きさはネクストと同じくらいの長さを持っおり、リヴォークUを破壊するのは造作も無いことである。しかしそれが振り抜かれることはなかった。 『おらー!貰ったぞ!その腕!』 ブレイクダウンがOBで一気に接近し右腕のパイルバンカーで大型機の左腕を貫いた。左腕は一瞬で大きな爆発を起こし左 腕がバラバラに吹き飛んだ。それだけでなく、爆発により大型機はオーバーヒートを起こし所々に火花が散って最後は停止した。 『派手にやりましたね〜』 『いいだろ結果オーライだ!』 ライジングのお気楽な判断にサリアは何回目かのため息が出たがライジングはそれに気付くことはなかった。レーダーに現れた反応 したネクストにも… 『ライさん!』 敵ネクストは赤をベースにした色で武器はショットガン、アサルトライフル、スラッグガンを装備しており近距離ベースの機体だった。 見る限り情報で確認されているネクストはあれのことだろうとサリアは思った。敵ネクストはOBで一気にブレイクダウンに近づいた。 サリアの声でライジングはレーダーが反応した方向を向いたが敵ネクストはブレイクダウンに銃口を向けていた。発射されたショットガン、アサルトライフルはブレイクダウンに直撃した。ブレイクダウンのPAが無くなり、腕やコアに直撃した。ブレイクダウンの腕は吹き飛び機体は一瞬でスクラップになった。 『ライさん!ライさん!』 サリアは通信をするが一向に応答しないライジングにサリアは最悪の状態を想定した。しかしそれに答えたのはライジングではなく敵ネクストの通信だった。 『安心しろ、死んでねぇよ』 『何者ですか』 サリアの口調は先程のようなおっとりした口調ではなく、凍てつくような口調だった。しかし相手はそれを気にすることがなかった。 『誰だっていいだろ。そんなことは、それより貴様には死んでもらうぞ。ランク12のサリア』 『それ以上口を開くんじゃありません糞虫』 突然の底冷えするような声で発した言葉は相手にプレッシャーを与えるには十分だった。 『その命を貰うぞ!全てを貫く闇!』 敵ネクストは一気に接近し両腕の武器を構えた。銃口はリヴォークUをロックし、トリガーを弾いた。しかしそれはリヴォークUに当たる ことはなかった。リヴォークUは相手の先を読んで回避し、ライフルのトリガーを弾いた。 『やるじゃねえか!全てを貫く闇!』 『それ以上口を開くなと言ったはずです、このゲリラの手先のファッキンリンクス』 敵ネクストは一気にリヴォークUに近づきショットガンを構えた。さすがに零距離近くだと回避はできないだろう。 しかし敵は気付いてなかった。サリアの最も得意の戦闘スタイルを 『消えなさい…』 リヴォークUは零距離でグレネードを放った。それには敵も驚くしかなかった。そして怯んだ敵にサリアはリヴォークUのレーザーブレードで敵ネクストの腕を切り裂いた。敵は反撃をしようと背中のスラッグガンのトリガーを弾いたがそれもリヴォークUに当たることはなくリヴォークUのライフルでスラッグガンを破壊し、レーザーブレードでもう片方の腕を切り裂いた。 『マジかよ!』 まさに一瞬の出来事だった。自機は戦闘続行不可能、相手のリヴォークUは健在さらに無傷な状態だった。 『死になさい、糞以下の蛆虫野郎』 リヴォークUのレーザーブレードが確実に敵のコクピットを貫くはずだった。しかし突然遠くからの攻撃でリヴォークUは後方に下がった。 『撤退するぞ ゼン』 突然の奇襲にサリアは小さく舌打ちをした。奇襲した相手は見る限り遠距離主体の機体で距離も相手が有利な距離だった。そして相手は強いということがわかる、目の前にいるネクストのリンクスよりも確実に。 『聞こえのたか、撤退するぞ ゼン』 『了解だ くそ!』 通信の人物により敵ネクストは撤退していった。追撃しようとしたが確実にもう一機のネクストに邪魔されることがわかっていたのでやめることにした。それより先にライジングの状態だった。サリアはすぐにGAに任務終了の連絡をし、救護部隊の要請をした。 結果、ライジングは重症だが命に別状はないと判断された。任務も敵ネクストの撃破はできなかったが敵部隊の排除は成功した。 新型機はいつの間にか姿を消したことから離脱したと判断した。収穫したのはバラバラになった左腕と敵リンクスの名前だけで他はなにも収穫はなかった。しかし敵が巨大な組織であるとわかったのはサリアだけである。 後書き どうもBOOKです。小説書くの早いと思いますよね。自分でもそう思います。事前に準備もしていましたから なんとかなりました。いや〜グダグダですね〜。キャラの特徴を活かしきれませんでした。まだまだレベル が足りないですね。この後も色々続きますから暖かい目で見守ってください。 |