『プラント攻防戦』

 アルゼブラ社の農業プラントにGAのAF部隊が進行しているとの情報が入った。
 GAの新型AFによりアルゼブラの被害はかなりのものとなっている。その為アルゼブラはバーラット部隊と二機のネクストを雇った。

 アルゼブラ基地の廊下を歩くエレクトラは自分の知っている情報を頭で整理していた。
今回相手をするGAは大規模なノーマル部隊に新型AFとネクスト一体でありそれに対してこちらはバーラット部隊とネクスト二機だけである。しかしエレクトラはこのミッションに負けはないと確信していた。それを確信する理由は今回組むリンクス カラードランクNo1
 キャンディス・ナイトの存在であった。歌手とリンクスの活動を両立させている珍しいタイプだがリンクスの強さはNo1の名に恥じぬ実力である。考えている内にいつの間にかブリィーフィングルーム前まで来ていた。エレクトラは部屋に入ると一人の女性がいた。
 女性はこちらに気付いて微笑んでこちらを見た。

「はじめまして、キャンディス・ナイトといいます」

「はじめまして、エレクトラと申します」

 初めて生で見たキャンディス・ナイトに内面は緊張気味のエレクトラだった。歌手でデビュー中である彼女とこのような形であるが会えたことが彼女には喜ばしいことである。

「あ、あの、折り入ってお願いがあるのですけれどサインをお願いしてもよろしいでしょうか…」

「ふふっ、よろしいですよ」

 そう言いキャンディスは持っているメモ紙に自分のサインを書き、エレクトラに渡した。

「ありがとうございます!」

 サインを貰いテンションがあがっているエレクトラにキャンディスも笑顔になった。

「あ、あとですね、できれば歌も聞きたいなぁ……」

 目を輝かしているエレクトラに苦笑するキャンディス。

「ごめんなさいね、一応商売だから今はダメ。良かったら今度のライヴに来てよ」

「はい 絶対に行きます」

 その後もキャンディスとエレクトラは雑談などをして楽しんでおり、これから起きるミッションの心配などしてなかった。





 GAのAF部隊は確実に目的であるリッチ農業プラントに近づいていた。途中にいくつかの守備部隊がいたがGAの被害が殆ど無い状態だった。それの理由としてはGAの新型AFにあった。
 新型AF グラウンドハウル GAと有澤重工の協同開発によるタンク型AF。両社の長所を最大限に利用しており、頑丈な装甲、豊富な武装、巨大な火力を備えており、全AFでも火力はトップクラスになる。さらにネクスト オールブロックを護衛に付け、ノーマル部隊も付いている。

『プラント一つにどれだけの戦力よ…』

 コクピットの中で愚痴るメグにAFにいる隊長は苦笑するしかなかった。

『仕方がないだろ、上からの命令だから』

 そうだけどと愚痴るメグに困った様子の艦長だが部下の知らせでその雰囲気は消されることになる。

『守備部隊発見しました!』

『迎撃しろ!GAの力を奴等に見せ付けろ!』

 艦長の号令により船員は自分の持ち場に戻った。メグも気を引き締める。守備部隊との戦闘が始まったが結果はGAの被害はゼロに近く、アルゼブラの守備部隊は撤退していく結果になった。





 農業プラント前に二機のACが並んでいた。一機はブラックモア もう一機はレッドドラゴン 二機のACとアルゼブラのバーラット部隊が配備されていた。

『もうそろそろね…』

『そうね、先程最終防衛ラインが突破されたとの通信が入ったわ』

 相手の戦力はほぼ健在。ということはこの戦力でGAの戦力を相手にしなければならないということになる。
 ノーマルはバーラット部隊が相手をしてくれるがそれでもきつい状況なのは変わりないということだ。

『リンクス、敵部隊がもうすぐ作戦領域に入る。準備を開始してくれ。』

オペレーターの通信で二人は気を引き締めた。

『敵、作戦領域に入りました 作戦を開始してくれ』

『了解、エレクトラ 作戦を開始します』

『キャンディス・ナイト 行きます』

 二機はOBを起動し、敵に近づいていった。二機の後にバーラット部隊も彼女らについていった。
 レッドドラゴンは背中のグレネードを発射した。
 グレネードは敵ノーマルに当たり近くの敵ノーマルも爆発に巻き込まれた。
 敵ノーマルがいなくなった道を二機は通りぬけていった。
 敵ノーマルは二機に攻撃しようとするがバーラット部隊がそれをさせないと敵ノーマルに攻撃を開始した。
 敵ノーマルもターゲットを変えて戦闘を開始した。





 二機はブースト吹かしAFに近づいていた。AFは遠くに配備されていて周りにはノーマル部隊がいた。
 AFは二機に向かってグレネードを発射した。

『目標のAFを確認。これより撃破してきます』

 二機はグレネードを回避した。レッドドラゴンはライフルとマシンガンのトリガーを引いた。
 マシンガンとライフルはAFに当たるがAFの装甲に傷を付ける程度で致命傷にはならなかった。
 AFはミサイルポッドを展開しミサイルが発射していった。
 ミサイルはブラックモアを狙って向かっていった。

『あら、凄そうなアームズフォート。でも、火力なら私だって負けませんよ』

 ブラックモアはQBを使い確実にミサイルを回避していった。タンクを忘れるような回避に敵は唖然とした。
 NO1の実力がここまでとは思っていなかったのだろう。
 AFは次々とミサイル、グレネードを発射していくが掠る程度で当たることはなかった。

『まずはそのミサイルを貰います』

 ブラックモアのバズーカは大型ミサイルポッドに直撃し爆発を起こした。
 更にその爆発は内部にまで効いたのか黒煙がもれてきていた。

『この程度ですか……』

 さらにレッドドラゴンのグレネードが当たりグレネード砲が爆発していった。
 二機はさらに追撃をしようとしたが突然の弾幕で二機は後退した。
『ちょっと、なんでネクストがいるのよ』

 メグは後悔していた。相手はネクスト二機、それだけならよかった。
 しかし問題は相手のランクにあった。一機はランクが一つ上のレッドドラゴン。
 もう一機はカラードNO1のブラックモアだった。

『硬そうなACだこと。でも、問題ではありませんね』

 そう言いブラックモアのバズーカがオールブロックに当たった。
 しかしオールブラックには致命傷はならなかった。

『硬さなど問題にもなりません。さっさと落とさせてもらいます』

 レッドドラゴンもライフル、マシンガンを撃ったがそれもオールブロックのPAでダメージが殆どなかった。オールブロックはライフルとガトリングガンをレッドドラゴンに向けて撃った。レッドドラゴンはQBで回避をしていたが少しずつダメージが蓄積されていった。AFも体勢を取り戻し再び攻撃を開始した。

『うざいわね…あのネクスト』

 エレクトラは舌打ちをした。AFを排除するにはまずオールブロックを排除しなければならなかった。
 さすがにネクストに背中を向けるのはバカのすることであるのは当たり前だった。
 だがこのネクストを排除すればAFを守るものは何もない状態になる。

『エレクトラ…私に任して貴方はAFにむかって』

 キャンディスから通信エレクトラはなにか秘策があると解りすぐにOBでAFの方に向って行った。
 オールブロックも向わせないようにとライフルを撃つが割り込んだブラックモアに阻止された。

『ちょっと邪魔しないでよね!』

 オールブロックはガトリングを撃ってきたがブラックモアは回避していった。
 さらにブラックモアの右腕武器からコジマ粒子が発生していた。
 メグは危険を察知して下がろうとしたが遅くコジマレーザーがオールブロックに直撃した。
 一瞬でオールブロックのPAは維持できない状態になった。

『これで、サヨナラね。』

 ブラックモアの火力を正面から受けたオールブロックはかなりのダメージを受けた。

『もう最悪!撤退するわ』

 オールブロックはブーストを吹かし撤退していった。ちょうどその頃遠くのほうで巨大な爆発が起きた。
 その後通信でレッドドラゴンが敵AFを破壊したと入った。敵ノーマルも撤退したとの連絡が入った。こうしてプラント攻防戦はアルゼブラの勝利で幕を閉じた。

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