『蘇ル影 始マルハ復讐』




「ついにこの時が来たな…」

「それでは…いよいよ…」

「そうだ、我々を道具のように扱った企業に復讐する時が来た…」

 とある豪邸の広場で十人の男女が話をしていた。長いテーブルの両端に五人ずつ座っていた。
話を聞く限りここの人は全員リンクスなのだろう。その中にはゼンと黒マントの男も座っていた。

「ミラ、状況はどうなっている…」

 初老の男が紫の髪をした女性に話しかけた。女性はパソコンのモニターから目を離し男の方に目を向けた。

「問題はないわ、マイト。でもまだ本気で企業を潰すにはまだ戦力がたりないわ それに物資もまだ不足している」

「俺が行けば企業の糞共なんてすぐに終ることだろうが」

 金髪の男の突然の発言により周りの空気が変わった。周りの者はまたかと言いたそうな目で彼をみた。その空気の中でミラは金髪の男に言った。

「グラッド、貴方は企業を甘く見ているわ。物量はあちらの方が圧倒的に有利でさらにはカラードの傭兵がいるのよ。それに前もゼンがやられて帰ってきているのよ」

 ミラの言葉にゼンは苦虫を潰したような顔をした。彼はこの前の任務でノーマル部隊は全滅、ネクストは大破、実験機は小破した状態で戻ってきた。それに対しての結果はネクスト一機を大破だけと割に合わない結果だった。

「はん!それはあいつが弱かっただけだろ。俺にかかればあいつ等なんてすぐに殺せたぜ」

「てめぇ!俺が弱いだと!」

 グラッドの言葉にゼンは椅子から立ち上がり叫んだ。左手にはサバイバルナイフが握っており次の言葉次第では彼を殺す気でいるだろう。元々ゼンとグラッドは仲が悪くちょっとしたことで喧嘩という名の殺し合いをして毎回それを周りの者が止めることになる

「何度でも言ってやろうか!お前は弱いんだよ。雑魚野郎が」

 その言葉にゼンは完全に切れて。グラッドも愛用のメリケンサックをつけて臨戦状態だった。周りの者も彼らを止めるために武器を取った。

「やめよ。下衆が」

 突然の声にゼンとグラッドは声が聞こえた方向を向いた。そこには一人の少女が座っていた。少女は見た目は13歳ぐらいで今では珍しい着物を着ていた。

「この場でくだらない争いをするな、見ているこっちが疲れるわ。さぁ武器を下ろしなさい」

 少女の一言で周りの者は武器を下げた。ゼンとグラッドは渋々とした表情をしながらも武器を下げ席についた。

「…話を続けるわ。今の戦力で私達は企業に勝つことはできないわ。でも『アレ』が完成したら話は別よ」

「『アレ』か…信用できるのか?」

「あいつを信用できないのはわかるけど技術は一流だから…」

「それで今回は『アレ』の起動実験を行うわ。今回はラグとサポートにフレイマーを出すわ」

「おい待て、リンクスを雇ったんじゃねぇのか?」

「集まらなかったのよ。まぁいきなり企業に復讐しますときたら困るわよね」

「連絡は以上だ。それでは自分の持ち場に戻るぞ。」

「わかったわ。それじゃ私は先に行きますから…」

 そう言いラグは席を立ち、早々にこの場から立ち去った。他のメンバーも次々と席を立ち広場から去った。そう…もうすぐ始める戦争のための準備をするために…………





 企業連のビルの一室にいるエルリアは二種類の資料を見ていた。今回彼女が請けた依頼はネクストの排除だった。敵は元インテリオルのネクストであったが民間施設の誤射事件により企業から追放されたがつい最近になりテロリストと一緒に姿を見るようになった。それにより危険を感じた企業はカラードのネクストに依頼を頼みNo23のエルリアとNo52のクワトロ・ハレルヤを雇った。

「相手はラグ・ファイント。元インテリオルのリンクスで重量二脚型の火力重視のネクストであるダイヤモンドダストを使い完膚無きに敵を叩くねぇ…」

 現在彼女が見ている資料は親友であるサリアから受け取った資料を見ている。企業から受け取った資料もあるがこちらの方が確実な情報もあり信用性もあるからである。今回の相手の情報もサリアが独自に集めた情報であり企業から渡された資料より詳しく書かれていた。

「どうして敵リンクスのスリーサイズや生活リズムが載っているのかしら? まあ、あの人の送ってくる資料が無駄に詳細なのはいつものことよね」

 まったく関係ない情報も書かれており他にも趣味や好きなものなど載っており苦笑せざるえなかった。その時ドアが開き数人の人が入ってきた。スーツを着た男達はおそらく企業の重臣だろう。後ろにいる女性はコバルトブルーのロングヘアーでグリーンの瞳をした女性だった。スーツの男達は彼女の案内をしていたんだろう。用が終ったのかすぐに部屋から出て行った。

「待たせて申し訳ありません 初めまして、私がプロフェッサー・ハレルヤと申します。」

「初めまして、No.23 エルシアです」

 お互いに挨拶を交わすと突然彼女は一つの資料を渡した。エルリアはその資料を見ると書かれているのは自分の機体のデータであった。

「失礼ですが貴女の機体を見せてもらいました。見る限り貴女の機体はかなりエネルギー面で無理をしているのではないのですか。」

 ハレルヤの言葉にエルリアは思う所はあった。元々エルリアの機体は高機動を目的としている為ジェネレーターもSOBREROにしEN出力は最高であるが反面EN容量は少なくEN武器しかない機体には辛いのは事実であった。

「よろしければ私が色々と助言をしますがどうでしょうか?」

「プロフェッショナルの意見は貴重だし、参考にさせてもらいます」

 確かに自分の腕には限界がある為プロの意見を聞けば少しは弱点を克服できるのかもしれないと考えた彼女はハレルヤに頼むことにした。

「わかりましたわ。それでは格納庫に向いましょうか。」

 そう言い彼女は部屋を出てネクストが置いてある格納庫に向った。エルリアも持ってきた資料を片付けて部屋を出た。


 格納庫についたハレルヤはパートナーであるエルリアのネクスト、ブラックローレルの機体データを見た。エルリアの機体、ブラックローレルは機動性に特化したACで背中と肩に補助ブースターを装備したことで機動力はカラードではトップレベルである。しかしその分ジェネレーターの負荷も相当なものであり武器との相性は良いと言えずハイレーザーと高出力ブレードはより一層ジェネレーターに負担をかけていた。

「これはこれは……」

 ハレルヤは早速機体のジェネレーターを確認しさらにブースター、機体の重さ、武装のEN面など様々なデータを次々とPC画面に出していった。その速さは並の技術者ではマネできることではなく彼女が天才である証拠のひとつでもある。次々と出すデータに目を通していくつかのシュミレーションをしていた。そこまでの作業に普通は各企業の技術者が数週間を費やしさらにシュミレーションで時間を費やすことになるが彼女はその作業を高速でこなしていった。

「さすが企業の施設は違うわね。良い物が揃っているわ。」

 次々と出していくデータ。今回のパートナーを少しでも良い働きをしてもらう為に最高の状態で出てもらわないと困るからである。自分もネクストには乗るが相手のデータを見る限りエネルギー防御が高い機体であり自分の機体は全てエネルギー武器を使用している為ダメージは期待できそうもなかった。

「ようやく追いつきました」

 多少息切れしているエルリアはパソコンの画面を見たら呆然とするしかなかった。自分の機体は自分が一番わかっていたつもりだったが彼女は自分以上に機体のことを知っているみたいだった。

「あら?遅かったわね」

今気付いたのかハレルヤはこちらを向いた。

「貴女が早いのですよ、まったく…それで、私の機体はどうでした?」

「機体のジェネレーターの負担は以上だわ。よく今まで持ちましたわね。今回は持ちますが今後の保障はありませんね。せめてジェネレーターを変更する、または武装を変更するかですね。新しい機体に変えるのもいいのかもしれませんね」

「そうですか…」

 自機の限界を聞いたエルリアはため息をはいて気分を楽にした。ハレルヤは一人の整備員に先程のデータをプリントした用紙を渡した。これでエルリアの機体の短所は少しは改善できただろう。やることがなくなった二人は格納庫から出て部屋に戻っていった。





 ロロ砂漠の簡易基地の格納庫でラグは今回の実験機を見ていた。

 機体は四脚型で足と胴体だけである。足の装甲はかなり頑丈に作られているが本体はまだ未完成のため装甲が薄い状態であった。だがこの機体に装甲などは意味もないかもしれない。その理由とするのは胴体に付いている大量のPA増幅装置であった。アクアビットの制波装置を胴体に四つ、一足に二つずつ、計八つ。さらに内部にもPA装置を内蔵されておりその防御力はネクストの比ではない。武装面は胴体下に装備されたプロキオン砲二門しかないが攻撃を喰らうことがなければその武装で十分であった。しかしまだ不十分の所がおり今回はそれの機動実験を行うことでラグはそれの護衛をすることになった。

「こんなのに頼るとは…未熟」

 元々ラグはこのような物に頼るのは好きではなかった。さらにこれの開発者は敵である企業の奴である。今はこちらの味方だが所詮は企業の人物。裏切る可能性もないとは言い切れない。

「しかし勝つ為には仕方ないことなのだな」

 どんな手段を選んでも企業に勝たなければならない。それがあの人にできる自分の恩返しであった……

 元々はインテリオルのリンクスであった自分。数多くのミッションを成功させていたが事件が起きた。あるミッション時自分の放った弾が民間施設を誤射したという事件が起きた。当然彼女は民間施設があるのは知らないし彼女の部隊も知らされていなかった。後にそれはカラードの情報不足が原因であることがわかったがカラードはこれを黙認しミッションに参加したラグとその部隊を解雇させた。その後彼女に偽の依頼を請けさせ彼女を葬ろうとしたが結果は失敗。ラグは何とか逃走することができたが機体の所々に火花が飛び散り限界が近かった。

『くそっ…あの糞蛆虫ども・・・』

 先程も企業のノーマル部隊と戦闘をし、勝つことはできたが残弾も少なく機体にもダメージが蓄積されていった。

『ここで死ぬのか…』

 死を覚悟したラグは重い瞼が閉じようとしたその時レーダーが反応した。反応はネクストであったがカラードのものではなかった。

『貴女がラグ・ファイントですか?』

 突然の通信であったがラグはそれを気にしないで質問に答えた。

『そうだが…貴方は』

『私の名は−−−−だ。さて、ラグさん私達の仲間になりませんか?』

 いきなり何を言っているんだろうかと思ったが最後まで話を聞くことにした。

『私は今企業に立ち向かう為に戦力を集めています。あなたの力をここで失うのは惜しいことです。あなたもおわかりでしょう。あの企業に未来を任せることができないことを』

 企業にすべての罪を擦り付けられ殺されそうになった自分。人間を駒のように扱っている企業。次第に増える企業への怒り。

『答えはお決まりですか…』

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「………随分耽っていたようね」

 懐かしい記憶を思い出した。その後記憶では彼女は彼の仲間になり【あの人】の為に数々の任務をこなしていった。それがあの人にできる自分への忠誠心でもあった。

「ラグ、こんな所にいたのか」

 後ろから自分を呼ぶ声がし振り向くと一人の男がこちらに近づいてきた。

 男は身長が180cm程で見た目的に力持ちには見えなくどちらかというと頭脳派であった

「何のようですか…ハエ野郎」

「会っていきなりですか・・・」

 たははっと笑うこの男が今回のパートナーであるフレイマーであった。彼はこの組織の中ではまだ新しい方ではあるが腕は良く性格もフランクで親しみやすい性格でもあった。ちなみにハエ野郎と呼ばれた理由は彼の戦い方がハエみたくうっとおしいのが理由である。

「で、どうしたのですかハエ」

「段々酷くなってないか…まぁいいか、もうすぐ実験が始めるからお前も準備しろだと」

 そう言いフレイマーは自分の機体に向っていった。ラグも着物からパイロットスーツに着替えるために更衣室に向っていった。





 ロロ砂漠を走行しているネクスト二機。一機はエルリアのブラックローレル。もう一機はハレルヤのロスト・ネクストである。その後ろにはGA社ノーマルSOLAEWINDとアルドラ社ノーマルGOPPERT-G3が付いて来ている。

『ネクスト一機に此処まで用意するとは…』

 ネクスト一機にここまでの戦力を用意するまでになるとは企業はよほど今回のネクストを消して欲しいのだろうか?最近の企業の状態は正直な所良いとは言えなかった。企業に反抗する強大な武装組織や企業を裏切った者が続出しているのが現実だ。現につい最近にもブラックゴート社との戦闘があり敗北したとの情報もある。今の企業は少しの敵に対しても潰さないといけない状況なのかもしれない。

『エルリアさん、もうすぐ作戦領域に入りますよ』

 ハレルヤの言葉でエルリアは思考を中断させミッションに集中した。少しの油断が戦況を大きく変えることになり最悪自分は死んでしまうことになる。

『っ!?』

 作戦領域に入った瞬間にいきなり攻撃をしてきた。二機はQBを使いすぐに回避はできたがノーマル部隊は避けきれず攻撃は命中し何機かは爆散していった。次々と放ってくるレーザーにノーマルは避けることができず数分で全滅することになった。

『いきなりですか…でもアレだけの威力はいったい…』

 考えてみれば今回の相手はネクスト一機の筈である。しかし今の攻撃は完全にネクストの武器ではなかった。たしかに情報では敵ネクストは背中にレールキャノンは装備されているがあそこまでの威力はない筈である。さらに今回の場所は障害物は無い物の夜であり視界は良いとはいえない。その中レーダーも装備せずFCSだけであれほど精密な射撃は難しい。ハレルヤは自機のレーダーを見てみると作戦領域ギリギリの場所に大きな反応がした。

『興味深いですね』

 ハレルヤは今回のミッションで初めて興味を示した。今の彼女はネクスト戦よりも新たな敵に対する興味でいっぱいだった。そしていくつかの攻撃を避けながら近づいていったブラックローレルは遠くにいるネクストが確認できた。敵ネクストは青をベースにしたカラーで詳細通り背中にレールキャノン、腕にはハイレーザーが装備されていた。敵ネクストは背中のレールキャノンを展開しブラックローレルに向けて発射した。しかし命中補正が甘かったのか簡単に回避する事ができた。

『企業の糞飼い猫共ですか…』

『ラグ隊長、どうします?』

『殲滅するわよ…MUSHROOMの状態は?』

『問題はありません。正常に起動しています』

『わかりました。それでは直ちに敵ネクスト二機の殲滅を開始します』

『了解!』

 ダイヤモンド・ダストはレールガンを構えて敵ネクストを狙い始めた。ノーマルも敵ネクストに向って移動を開始した。

 レールガンを回避したエルリアは数機のノーマルとその後ろにいる大型兵器を確認した。

『外見から判断する限りは、事前情報との差異はないみたいね』

 ブラックローレルはノーマルの攻撃を回避しながら右腕に装備されているハイレーザーでノーマルを撃破していった。何機かは仕留めそこなったがそこは後ろにいるハレルヤに任せて自分はダイヤモンド・ダストに近づいていった。

『エルリアさん。私は後ろの大型機を相手してきますのでネクストはお任せします』

 ハレルヤの意見にエルリアは賛成した元々エルリアはハレルヤに大型機の相手をしてもらおうと思っていた。

『わかりました。それではハレルヤさんお願いします』

 ロスト・ネクストはOBで大型兵器の方に向った。ダイヤモンド・ダストは行かせないとレールキャノンを向けようとするがブラックローレルはさせないとハイレーザーで攻撃をした。ダイヤモンド・ダストはハイレーザーを回避したが攻撃のチャンスをなくしロスト・ネクストを行かせてしまった。

『邪魔をしないでください…飼い猫風情が』

『いきなりの挨拶ね』

 接近しようとするブラックローレルだがそう簡単にさせる筈もなくダイヤモンド・ダストは両背のレールキャノンを発射した。小刻みなQBで弾速の早いレール弾を回避し少しずつ接近していった。普段なら途中でジェネレーターが切れそうになるがハレルヤの改造もあってかジェネレーターが切れることがなかった。

『ちょこまかと…うるさいわね。雌豚さん』

『……好き放題言ってくれるわね。』

『本当のことですよね。黙ってさっさと死んでくれません雌豚さん』

『……不愉快ね、ネクストから引き摺り下ろして口を縫ってやろうかしら?』

 さすがに此処まで言われてら切れてしまうのも無理はない。彼女らの戦闘はますます激しくなるばかりであった。





 OBで移動し、かなりの距離を移動し目標までの距離にたどり着いたロスト・ネクストはOBを解除した。

『これが敵の新型機、どんな技術をお持ちか興味がありましたのよ。』

 ハレルヤは敵の大型兵器をじっくり見ていた。四脚型で腕と頭がなく全身に昔に壊滅したアクアビットPA増幅装置。装甲は脚は硬そうだが本体は所々は剥き出しの状態であった。武器も二つのレーザー砲しかないが攻撃力は高くおそらく先程の攻撃はこの機体だろうと判断した。

『珍しい機体ですね。早速その性能を確かめさせてください』

 ロスト・ネクストの右腕のハイレーザーを発射した。敵は避けることをしないで攻撃を受けた。しかし敵のPAでハイレーザーは貫通していなかった。元々EN武器はPA貫通は実弾武器よりも高く、大抵のPAは貫通できるはずだった。だがあの機体のPAは密度が高いのか貫通することがなかった。お返しとばかりにレーザー砲を発射した。ロスト・ネクストは完全には回避できなく、右腕のハイレーザーに命中し爆散していった。

『予想以上ですね。ますます興味が湧いてきましたよ』

 ハレルヤはロスト・ネクストの両背のレーザーキャノンを大型機に発射した。六発分のレーザーを受けたらさすがにPAは貫通するはずであった。レーザーがPAに遮られたが二発は前の左足に当たったが目立つ程のダメージではなかった。その間にも大型機はレーザー砲を執拗に撃ってきている。

『防御力は高いですね…』

 背中のレーザーキャノンを受けてもダメージにならなかった。脚と胴体についているPA増幅装置がこれ程までの防御力をだせるとはさすがアクアビットだと関心した。

『でもこれはどうですかね…』

 突然ロスト・ネクストは大型機に接近し始めた。大型機は近づけさせないとレーザーを発射するが連射ができない為簡単に接近されてしまった。

『さて、この攻撃にたいしてPAを保つことができますか?』

 そう言いロスト・ネクストのブレードが大型機に振りぬかれた。





 一方エルリアの方は激戦中だったがそれも終わりが見えてきた。その理由はダイヤモンド・ダストの弾数に問題があった。元々短期決戦を目的のコンセプトであり弾数は少なく両腕のレーザーが5発ずつレールキャノンも40発だが相手が高機動型であり中々あたらなかった。今では腕に装備されたレーザーの残弾は0で武装解除し格納されたパルスガンで装備し背中のレールキャノンも10発を切っていた。ブラックローレルの方は機体に多少のダメージはあるもの特に問題はなく武器もブレードと追加ブースターがあれば戦闘可能であるため有利である。

『飼い猫に押されている…』

『終わりが見えてきたわね』

 今は完全にエルリアのペースであり勝負も決着がつきそうだった。ダイヤモンド・ダストのレールキャノンがブラックローレルを捕らえたがすぐにQBで回避した。そしてブラックローレルのブレードがダイヤモンド・ダストを捕らえた。すぐにQBで避けようとするがブレード範囲が広く左腕とコアの一部を切り裂いた。コアの当たり所が悪かったのかダイヤモンド・ダストのPAが突然解除された。

『こんな時に…』

『勝負はついたみたいね』

 止めにとレーザーブレードを振ろうとしたときに突然レーダーに大量のミサイル反応があった。すぐにQBでミサイルの雨を回避し体制を立て直した。

『増援!?』

 予想外のことだった。相手はただの武装組織だと思ってみたが増援がネクストとなると話が違った。ネクストを動かすとなると莫大な資金が掛かりそこらの組織では動かせるはずではなかった。しかし現に敵ネクストは二体いる。増援のネクストは逆脚タイプであり、腕にインテリオルのASミサイルを装備、背中には大型ミサイルであるBIGSIOUXが装備されている。ブラックローレルはミサイルを迎撃することは苦手であり回避するしか方法がなかった。

『でもやるしかないのよね!』

 OBで一気に接近しようとするが逆脚は高く飛び腕からASミサイルを発射した。QBで回避し続けるがすべてを回避できなく二発が直撃した。でもまだやれると思った時に通信が入った。

 通信の内容は撤退しろという内容だった。どうやらミス・クワトロが大型機に中破され撤退し、不利と感じたからだろう。納得し機体を反転しOBで領域を抜けた。同時に敵も撤退を始めた為襲撃はなかった。ミス・クワトロに話を聞くと大型機にブレード当て前足を切り裂いたが突如大型機がAAを作動し避けきれずに喰らった結果機体は中破したというわけだった。ハレルヤ自体は無傷だったが機体は結構ボロボロであり修復するのに時間が掛かるとのことだ。ブラックローレルは機体に目立った傷はないがジェネレーターの負担は抑えきれず新しいのに交換することになった。その際機体も新しくしたらどうだとの相談もあったがそれをどうするかは決めていない。

 企業が今回得た情報は敵の組織は巨大な可能性があること。企業に内通者が居る可能性があるということだ。またロロ砂漠の戦闘があった5日後にOMER社の一人の科学者が突然消える事件が起き、犯人はその人物の可能性が高くなった。


後書き

どうもBOOKです。長くなりまして申し訳ありません。長くなった割にこのレベル程度の文しか書けない自分が情けない…。次はこのようなことがないようにしますのでよろしくお願いします。

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