『真珠湾奇襲』

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 エルシアと彼女のネクスト、ブラック・ローレルは海の中にいた。といっても海中にいるわけではない。ネクストといえど浅深度での活動は可能だが、一定以上の深度に達すれば行動することは出来ない。

 ネクストとはあくまでも地上戦を目的とした兵器であり、水中のことは考慮にいれていなかった。それは企業にもいえることで、もっぱら戦場は地上や水上であり水中のことは念頭に無かったに違いない。

 だからこそアルゼブラの開発した潜水空母がGAの艦隊及びAFが駐留しているハワイ諸島近隣の海域にまで接近することが出来たのだろう。とはいえ海中が絶対に安全とは言えない。主な戦場が地上にあるとはいえオアフ島にある真珠湾にはGAの艦隊とAFギガベースが駐留しているのだ、それなりに警戒しているためあまり接近することは出来ず大規模な侵攻もまた不可能だった。

 そもそもGAグループはオーストラリア方面を除いた太平洋のほぼ全域の制海権を得ているのだ、たった一隻とはいえアルゼブラの潜水艦がここまでこれたこと自体が賞賛に値すべきことであろう。

 これが快挙であったとしても一人のリンクスであるエルシアには何の関係も無かった。彼女が行うべき事は真珠湾に停泊しているGAの艦隊及びAFに損害を与えGAの太平洋における影響力を少しでも削ぐことにある。

 そのためにアルゼブラはブラック・ローレルのためにヴァンガードオーバドブーストを調達していた。現在、ブラック・ローレルの背部には巨大なロケット推進機構にしかみえないヴァンガードオーバードブーストが搭載されているために酷く不恰好な状態になっている。

 これを使えば音速を突破し、GAの警戒網を掻い潜り敵の本陣へと突入することができるだろう。そうなればやりたい放題だ。おそらくGAの艦隊は全て整備のために停泊しているのだろう。もしくは調整中だというギガベースの護衛のためか。なんにせよ艦船による攻撃はエルシアにとっては恐くもなんともなかった。

 地上にはノーマルACも配備されていようが、エルシアが駆るのは次世代のAC、ネクストなのだ。数の上では圧倒的に不利かもしれないが、質を考えればおそらく同等だろう。

 もちろんそれはGA側にネクストがいなければの話である。だがアルゼブラのこの作戦は奇襲攻撃であり、GAに察知されていないはずなのだ。よってネクストの出現は有り得ないことだろう。

 エルシアのブラック・ローレルは雑魚とはいえ多数の戦闘には不向きである。火力を捨て機動力を優先しているためだ。唯一の射撃武器、CANOPUSの弾数は七十発であり多いといえる数ではない。

 もっとも、CANOPUSの火力ならば艦船を一撃で沈めることも可能であるし左腕にはMOONLIGHTも装備している。万が一弾切れを起こしたとしてもブレードがあるのならば心配することは無いし、MOONLIGHTがあればギガベースを破壊することも容易いことだろう。しかもギガベースは調整中なのだ。

「リンクス。後五分で浮上し作戦を開始する。出撃準備をしてくれ」

 既に被っているヘルメットに内蔵されているスピーカーから艦長の声が聞こえた。エルシアは「了解」と短く言ってブラック・ローレルのコクピットに入り込み機体を起動させる。

 AMSのコネクタを接続し機体と一つになり、戦闘モードに切り替える。コクピットが耐Gジェルに満たされたことを確認し、次に脚がカタパルトに固定されているかを確認した。

 全てに問題は無く、いつでもブラック・ローレルは発艦できる状態に整えられる。そのことを艦長に伝えると小さな声で「了解した」とだけ返って来た。

「これより浮上を開始する」

 艦長の声から僅かに遅れてネクストのコクピット内にいるにも関わらず排水音を聞くことが出来た。船体が傾いているのか体の感覚がおかしい。耐Gジェルに満たされていない状態であれば、きっと全身に軽い重圧を感じることが出来ただろう。

 おおよそ二分ほど経った頃であろうか、潜水艦は海面に金属の巨体を浮き上がらせた。このアルゼブラ製の潜水艦は現代では珍しいことに船形の船体を持っている。それがなぜかといえば、ネクスト以外にも航空機を発艦させるためだった。

 いつでも発進できるようおにエルシアはブラック・ローレルの両腕を前に突き出させる。ネクストは人型であり流線型とはほど遠い。ヴァンガードオーバードブーストを使用し音速を突破するためには、可能な限り機体の体勢を流線型に近づけてプライマルアーマーを展開させる必要があった。

「こちらエルシア、いつでも発進可能です」

「了解した。君を発進させた後、我々は予定されている回収ポイントに移動を開始する。既に聞かされているはずだが敵の探知を防ぐために我々が回収地点に留まっている時間は限られている、よって君には必然的に時間的制約が課せられることになる。それは分かっているな?」

「ブリーフィーングの時点で聞いています。ヴァンガードオーバードブーストをパージしてから五分が限界、それまでに敵戦力の半数を殲滅して撤退する。分かっているわ」

「ならいい、では今からカウントダウンを開始するぞ」

 目の前のハッチが開いた。久しぶりに見た陽光はカメラ越しであるとはいえ目に眩しい。ハッチの向こう側に広がる風景は大海原、真珠湾はまだ水平線の遥か向こうにあるのだ。

 しかしヴァンガードオーバードブーストを使えばそれも一瞬のことだろう。敵が接近に気づいて迎撃準備を整え終わる頃には作戦は全て終了しているはずだ。艦船は一撃で破壊可能であるし、ギガベースもAFとはいえ懐に潜り込んでしまえば撃破するのにそこまで時間はかからない筈。ギガベースがどのような状況なのかはわからないにせよ、調整中だというからには本来の性能を発揮できないことだけは確かなのだ。

 電子音声がカウントダウンを始める。エルシアは呼吸を整えてヴァンガードオーバードブーストに火を入れる。

 今回の任務は奇襲であり、GAは真珠湾が攻撃されるとは思っていないはずだ。何故ならばGAは環太平洋をほぼ全て制圧していると言っても良い、だからこそ太平洋に位置している真珠湾が攻撃を受けるとは予想できなかったとしてもおかしな話ではない。

 しかもアルゼブラはGAの警戒網を突破するためにわざわざ特殊な潜水艦まで用意しているのだ。エルシアはGAに勝機は無いと確信していた。

「三、ニ、一、〇」

 電子音声が〇を告げたときカタパルトが作動した。同時にヴァンガードオーバードブーストを噴かせる。カタパルト、そして巨大なブースターによって加速されたブラック・ローレルは一瞬で音の壁を突破し、後には衝撃波によって引き起こされた波だけが残った。

 アルゼブラの潜水艦はブラック・ローレルが水平線の彼方に消えたことを視認してから潜行を開始した、回収地点へと向かうために。


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 真珠湾の様子はどうもおかしかった。補給や調整のために立ち寄っているはずの艦隊のうち半分は洋上で待機しており、残り半分も停泊はしているものの半舷上陸でありいつでも戦闘が出来る体勢になっている。

 ここに来る途中に覗いた格納庫でもノーマルACがいつでもスクランブル発進できるように準備されていた。環太平洋はほぼGAの勢力下にあると言っても良く、これほどまでに警戒する必要は無いとウェルギリウスは思うのだ。

 彼女が今回受けた任務は、真珠湾に攻撃をしかけてくるという勢力からギガベースを守ることにある。ギガベースはこの後に控えているまた別の作戦に使用するためなのか念入りな整備を施されている途中だった、そのためかなりの射撃精度を誇る主砲が現在は使用不能であった。主砲の使えないギガベースの脅威は小さい。だからといって頼りにならないわけではない。

 ギガベースは半砲台型のアームズフォートであり、主砲以外にも多数の砲門が設置されている。懐に潜り込んでしまえば脅威ではないだろうが、中〜遠距離での戦闘となればネクストであったとしても苦戦を強いられるのは火を見るよりも明らかだ。

 だがどうにも解せないことがある。GAがギガベースを守りたいのは分かるが、果たしてリンクスを雇う必要があったのだろうか。ここ真珠湾に配備されている戦力ならば大抵の敵を迎撃することが可能であろう。もっとも、真珠湾に攻撃をしようとするならば大規模な艦隊が必要でそんなものが太平洋上で活動していればGAの警戒網に引っかからないはずは無い。

 とくれば潜水艦による攻撃だろうか。考えられるのはそれしかないが、潜水艦であったとしても団体での行動を行えばGAは事前に察知しているだろう。そうなれば何も真珠湾の基地で迎撃を行わずともこちらから出向けば良いという話だ。

 それらから導き出される結論はたった一つ。

 アルゼブラはネクストを使ってくるということ。GAもそれを予想しているからこそウェルギリウスを雇ったに違いない。彼女は耐Gジェルに満たされたコクピットの中でそう考えた。

 この考えは間違っていたとしても正解から遠いわけではないはずだ。でなければ辻褄が合わない。

 アラームが鳴り響く。目を瞑り呼吸を整えACに方膝を付いた体勢を取らせた。ウェルギリウスのネクスト、ネメシスは右腕に装備されたBFF製スナイパーライフル061ABSRによる長距離狙撃を主とする機体である。

 そのために腕部は射撃精度に優れるものを選び、FCSも長距離用のものを搭載していた。これならばまず外さないというレベルのものを、さらに方膝を地に付かせることによって命中精度をさらに上げる。

「音速で熱源が接近しています、おそらくはVOBを搭載したネクストと推定。迎撃態勢を取ってください」

 オペレーターからの通信が入るとともに水平線上に小さな点が見えた。即座に照準を合わせはしたが、撃ちはしない。今撃ったとしても相対している状況では回避される可能性があった。

 狙撃を開始するのは友軍の艦隊が迎撃を始めたときでいい。そうなれば敵ネクストはクイックブーストを使用した回避行動に入らざるを得なくなる。VOB使用時では回避行動にも大きな制限がかかるために、タイミングさえ合わせてやれば必中させてやることも不可能な話ではなかった。

 熱源、即ちVOBを搭載したネクストが想定されている戦闘エリアに侵入すると同時に洋上に展開していた一五隻の艦船が一斉に発砲を開始した。ミサイル、速射砲、搭載されているありとあらゆる武装を接近してくるネクストに向けている。

 オペレーターから敵ネクストの情報が届いた。敵ネクストはNo.23のエルシア、機体はブラックローレル。機体は火力よりも機動性を重視しているようだが、CANOPUSとMOONLIGHTを装備しているため、火力が低いというわけでは決して無いようだ。

 近づかれるとマズイ、そうウェルギリウスは判断し狙撃に精神を集中させる。VOBを背部につけたブラックローレルは左右のクイックブーストを的確に使いながら艦船からの攻撃を全て回避しながらも、レーザーライフルを的確に命中させ一隻、また一隻と減らしていく。

 だがウェルギリウスは焦らない。味方の艦船は護衛対象に入っていないのだ。守るべきはギガベースだけであって、その他は幾ら破壊されたとしても構わない。減額対象にすらなっていないのだ。

 艦船が沈められていく中、ウェルギリウスはブラックローレルの回避アルゴリズムを見つけ出した。そして引き金を引く。


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 エルシアは音速を超えた世界の中においても冷静さを一つとして欠くことは無かった。洋上に展開されていた一五隻の艦艇からの攻撃を全て回避し、艦橋目掛けてレーザーライフルの一撃を見舞い、一隻また一隻と落していく。順調に任務は展開されていた。

 残された時間は既に四分を切っていたが、このまま船団に打撃を与えつつギガベースを破壊さえすれば任務はこなせるだろう。そうエルシアは確信している。だがどうしても合点が一ついかない点があった。アルゼブラからの情報によれば真珠湾に停泊している艦船は整備や補修をしているのではないのか。それが何故、半数もの艦が洋上に展開していたのか。どう考えてもアルゼブラの襲撃がGAに予想されていたとしか思えない。

 そうでなければこの状況は説明できなかった。エルシアがそこまで考えた時に、左肩に直撃弾を受ける。GAの巡洋艦が放っている速射砲やミサイルが当たったのではない、対ネクスト用の弾丸がプライマルアーマーを貫き、ブラックローレルに直撃したのだと瞬時に悟った。

 GAがネクストを雇っている。ここまで来ればアルゼブラの襲撃がばれていたとしか考えざるを得なかった。エルシアは舌打ちを一つして、VOBをパージする。VOBがあれば音速で接近できるが、回避行動が限定されてしまう敵ネクストの姿をエルシアは未だ確認していなかったが狙撃を主体とした機体であることは間違いない。

 意識を集中すれば高速で接近してくる弾頭が見えた。サイドブースターをクイックで回避しながらブラックローレルは着水と同時に反転し、背後にいた巡洋艦の喫水線を狙ってレーザーライフルを放つ。結果を見届ける前に再び反転し、九時方向にクイックブーストを掛ける。ブラックローレルのすぐ脇をライフル弾がプライマルアーマーを貫通し、通り過ぎていった。

 射線から敵ネクストの位置を割り出し、カメラをズームさせる。黒いネクストACを確認すると同時にオペレーターへ敵ネクストが何者かを照合させた。結果はすぐに返ってくる、カラードNo.21ウェルギリスのネメシス。狙撃を主体としているが接近戦用の装備も持っており、万能型と考えても良いかもしれない。

 ネメシスは機体を安定させるためだろうか方膝を付いた姿勢を取っている。即座に次の行動に移ることは難しいはず。ここでエルシアには二つの選択肢が与えられた。ギガベースを破壊するか、確実に障害となるであろうネクストを撃破するか。エルシアはレーザーライフルの残弾を確認した後、前者を選択した。何故ならば、任務遂行に敵ネクストの撃破は含まれていないからである。そして離脱時間が残り三分を切っていたということもあった。

「悪いけれどあなたの相手はしていられないのよ!」

 オーバードブーストを発動させ、水上に佇んでいるギガベースへと一直線に進んでゆく。ギガベースの主砲による射撃を警戒していたのだが、どうやら主砲が調整中で使えないらしくギガベースからの発砲は確認できない。だからといって油断は出来ないが、ギガベースは射程というアドバンテージを失っている。

 オーバードブーストだけでなく通常のブースターも噴かせてエルシアはさらに機体を加速させた。耐Gジェルに全身を包まれているといっても、全身にかかる圧力を感じる。ギガベースの射程内に入ったらしくグレネードキャノン、副砲、ミサイルの嵐がブラックローレルを襲う。

 だがエルシアは躊躇わない、クイックブースターも併用しながらそれらの攻撃を避けてギガベースの懐へと入り込んだ。オーバードブーストにより機体周囲に展開させていたコジマ粒子は既に無く、エネルギーも残り少ない。だがどちらもすぐに回復する。この至近距離ならばギガベースは攻撃手段を持っていない。

 機体を反転させるとこちらに銃口を向けているノーマルACの大群と、ネメシスの姿が見える。だが誰も発砲してくることは無かった。当然のことであり、ブラックローレルは今ギガベースを背にしている。もし彼らが発砲しブラックローレルが回避したのならば、彼らの撃った弾は全てギガベースに直撃することになるのだ。ノーマルACのパイロット達はそのことに動揺しているのか、動きもどこかぎこちない。

 勝った。

 ギガベースを背にしている限り彼らは攻撃出来ない。戦場の流れはエルシアが握っていた。だがそれを変えようとするものが現れた、GAに雇われているウェルギリウスである。何を考えているのか、ネメシスは背中のグレネードキャノンをブラックローレルへと向けていた。

「あなた正気なの!?」

 ウェルギリウスからの返答は無く、返ってきたのはグレネード弾だった。もちろんブラックローレルはそれを回避する。ギガベースの装甲に当たったグレネードは爆発し、その爆炎はプライマルアーマーの無い今のブラックローレルの装甲に多少のダメージを与えた。エルシアの心は動揺している。

 カメラは炎で包まれて何も見えない。マズイ、とエルシアは焦ったがその時プライマルアーマーが回復しエルシアを落ち着かせる。炎が収まった時、ネメシスはオーバードブーストを使用して接近していた。ネメシスの肩からフラッシュロケットが放たれ、ブラックローレルの視界を再び奪う。

 何も見えない状況下におかれてもエルシアは冷静に行動し、三時方向にクイックブースターを使用する。視界が回復した時、左腕を突き出しているネメシスの姿が見えた。ネメシスの左腕に装備されているのはコジマブレードだ、もしあれが当たっていたと考えると背筋に寒気が走ったが今ネメシスは左腕を伸ばしきっている。

 この好機を逃さないわけにはいかなかった。エネルギー残量を見てレーザーライフルが撃てることを確認するとろくに照準もつけずにエルシアはトリガーを引く。ネメシスは回避しようとするが間に合わない。ネメシスの左腕がレーザーライフルで吹き飛ばされる。さらなる追撃をかけるべく、次は慎重にネメシスのコアパーツへと狙いを定めておいた。

 必ずネメシスはブラックローレルと相対しようとするはずだ。エルシアのこの予想は正しかった、ネメシスは残された右のクイックブーストでブラックローレルと相対する。ここまではエルシアも予想していた、だが彼女はネメシスがロックオンもせずにグレネードを撃ってくるとは思ってはいなかった。

 ロックオンされていないグレネードはブラックローレルの足元、水上に着弾し水柱を吹き上げる。咄嗟にエルシアは勢い良く後方へと下がった。そしてこれこそが敵の狙いだったのだと思い知らされることになる。ブラックローレルはギガベースから離れていたのだ。幸いなことにギガベースの射程圏内にはいなかったものの、ノーマルAC、そして停泊中の艦艇からの一斉砲火が加えられる。

 それらは単調なものであり回避することは容易いものの、数が多すぎる。裁ききれない弾丸は確実にブラックローレルの装甲に損傷を与えていた。だがエルシアも任務を遂行するために停泊している艦船を確実に一隻、また一隻を沈めていく。

 残り時間は少ない。敵からの砲火が薄くなった一瞬にネメシスの姿を探す、ネメシスは後方へと下がってスナイパーライフルの銃口を向けていた。ブラックローレルを遮二無二動かして狙撃を回避する。

 このままでは不利だ。何とかしてこの窮地を脱しなければ、必死に思考するエルシアを邪魔するように潜水空母からの通信が入ってきた。

「リンクス! 我々の所在がGAに発覚した! 死にたくなければ即座に後退するんだ!」

 敗北。

 その二文字がエルシアの思考を停止させ、再び動かせたのはネメシスの放った弾丸だった。周りは敵に囲まれている、時間はもう無い。死ぬかもしれない、その時エルシアの脳裏にフェルの表情が浮かぶ。

「私は、私はまだ死ねないんだぁ!」

 エルシアが咆哮にも近い叫びを上げると、一瞬ではあるが弾幕が薄くなったような気がした。この隙をエルシアは逃さず、即座に機体を潜水空母との合流地点に向けてオーバードブーストを発動させる。


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 こうしてアルゼブラによる奇襲攻撃は半ば失敗に終わった。GAの受けた損失は三〇隻あった艦船中、二〇隻が大破もしくは沈没していたがギガベースとノーマルACに損傷は無かったのだ。エルシアは任務を半ば成功させ、予定されていた額では無かったにせよ報酬を受け取り、ウェルギリウスもまたギガベースの撃沈を食い止めたことで予定された報酬を手にしていた。

 この戦闘が後にどういった影響を及ぼすのか、今はまだ分からない。



登場リンクス一覧
エルシア(ブラックローレル)
ウェルギリウス(ネメシス)

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