Retun to RAVEN



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 機械油の臭いが鼻に付いた。不快にも思わなければ、心地よいと思うことも無い。ただ淡々と自分の職業、レイヴンであるということを再認識したに過ぎない。煙草を取り出して口に咥え火を吐ける。喫煙しながらMTの並ぶ格納庫内を歩いていると、整備員からの視線を感じた。

 火気厳禁ということなのだろうが、今の御時世、煙草の火程度で引火するようなものは無い。燃料にしても爆薬にしても、僅かな火で引火はしない。火薬の類には注意すべきだろうが、そもそもそういったものはパッケージングされており直接火に触れる時は使用されるときぐらいだ。

 紫煙を吐き出して、格納庫内の一番奥にあるハンガーに固定されている黒いACを見上げた。黒と緑に塗り分けられた中量級二脚型ACの名はストレートウィンドブラック。手にはライフルとブレードを装備し、肩には六連装小型ミサイルとオービット、エクステンションには補助エネルギー装置を装備している。典型的、というには少し外れるだろうが二脚型ACとしてはオーソドックスな装備であろう。見た目には分からないが、インサイドには撹乱用にECMメーカーも装備している。

 ECMを付けていた所で、有視界戦闘が多いためあまり役に立つかと問われれば、あんまり、と答えるしかない。それでも敵機のレーダーによる索敵を妨害できる意義は大きい。位置を知られないということは重要だ。特にマッハは格闘戦無いし近距離戦を得意としているためいかにして近づくかは重要だ。

 腕時計を見れば、作戦開始時刻には程遠い。後一時間以上はある。かといって余裕があるのかといえばそうでもない。もうコクピット内に移動して最終調整及び確認を行って待機しておかねばならないのだろうが、マッハはそんな気分にどうしてもなれず愛機ストレートウィンドBを見上げていた。

 どのパーツも定期的に整備および交換を行っているため、新品同様とまでは流石にいかないが稼働率はかなりのものだろう。見た目にも綺麗なものだ。唯一つ、頭部を除いては。ストレートウィンドBの頭部パーツCR−H98XS−EYE2は元々ストレートウィンドBに装備されていたものではない。

 元のストレートウィンドにもXS−EYE2は装備していたが、以前使用していたXS−EYE2はある作戦に参加した際に大破してしまいとてもではないが使い物にならないような状況だった。その際、ストレートウィンド本体も大破していた。しかし即座に戦闘に復帰せねばならない状況であったため、その作戦中に撃墜された友の機体から使えるパーツを取り出して繋ぎ合わせたのがこの機体ストレートウィンドブラックというACだった。

 流石に脚部等は損傷が激しいため既に亡き友のものでは無いが、頭部だけは今も使い続けている。それでも新しい物に変えてはいないというだけで、何度も補修は加えている。それでもやはり限界が来ており、今は騙し騙し使い続けているといったところだ。恐らく、今回受けた依頼をこなせば、もう使い物にはならないだろう。形ある物はいつか壊れる、分かっているのだがやはり物悲しい。頭部が無くなれば、この機体から友人の物は消える事になる。

 塗装、そして構成を変えない限りは友と共にあるのだと考えることが出来るがそれでも形として無くなってしまう事を考えると寂しいものがある。溜め息混じりに紫煙を吐き出した。吸っていた煙草を見れば、かなり短くなっていた。吸えないほどではなかったが、みっともないと考えて携帯灰皿に吸殻を押し込んだ。

 もう一本吸いたいところだが、時間があまり残っていない。しぶしぶながらマッハはストレートウィンドBのコクピット内にその身を滑り込ませヘルメットを被った後に、OSを起動させる。起動画面が数秒ほどモニターに表示された後、格納庫内の景色が映し出される。通信機の電源を入れて、周波数帯を合わせオペレーターであるナターシャに連絡を入れる。

「こちらマッハ、聞こえるか?」

「聞こえますよレイヴン、どうぞご安心を」

 事務的で、そして機械的なナターシャの声。安堵とは程遠いはずなのだが、彼女の声を聞くと一種の安心感ににたような感覚を抱くことがある。今もそうだった。何故だろうか、と幾度と無く考えたがコレだといえる答を導けた試しが無い。きっとこれから先、答が出ることは無いだろう。それでいいと思う。答が出る時、きっとそれは戦死するときだ。

 レイヴン、傭兵という死と隣り合わせの職業についておきながらマッハは自分が死ぬということを考えることが出来ない。そもそも、死ぬということが何なのかが未だによく分かっていない。目の前で唯一無二の親友が死んだこともあるが、それでもやはり分からない。だからこそ、レイヴンをやれるのだろう。

 レイヴンズアークとだけでなく、今回の雇い主であるミラージュ軍部との回線も開く。作戦開始時刻まで後四○分ほど、テストがてらに通信を入れておくのも悪くない。

「こちらレイヴン、聞こえるか? ミラージュ」

「こちらミラージュ、安心しろレイヴン。ちゃんと聞こえている。あぁ、そうだまだ時間はあるが輸送機の方に移動しておいてくれ」

「了解」

 背後から装甲越しにではあるが、拘束具の外れる重い音が聞こえた。と同時に、握っていた操縦桿が僅かに軽くなったような気がしたのだが、これは気のせいなのだろうか。どちらにせよ、拘束されていないというのは良い事だ。誰にも縛られない、それがレイヴン。

/2

 エンジンの音がうるさい。今、ストレートウィンドBはミラージュ軍所属の大型輸送機内に固定されていた。作戦地域までは約一五分。マッハとしては僅かな時間でこそあるが空からの景色を堪能したかった。しかし一五分という時間は短い、輸送機のパイロットと交渉してみたがコクピットから降りる許可は下りなかった。

 黙って降りるということも出来たのだが、不測の事態に陥った場合そしてバレた場合のことを考えればとてもではないが出来なかった。レイヴンという職業はある程度信用で成り立っているところがあるような気がする、よって下手な行動をとるのは控えておく方が好ましい。

 狭いコクピットではあるが、何とかリラックスしようとヘルメットを脱いでシートベルトも外しているのだがいかんせん落ち着かない。やはりコクピットが狭すぎるし、エンジン音がうるさすぎる。神経に障る。

 レイヴンとしてはベテランの域に達していると思うマッハだが、やはり作戦開始前は落ち着かない。今回の場合、敵ACが出てこないことまで分かっている。とはいえ確定ではない。今回の任務は移動中のクレストMT部隊を殲滅することだが、時間を掛けすぎればレイヴンを臨時で雇われる可能性もある。

 それに、戦場に“絶対”の二文字は存在しない。故に、ミラージュは敵ACは絶対にいないと判断しているが実は存在している可能性も充分に考えられる。もっとも、マッハからしてみれば敵ACが存在してくれる方がありがたい。

 ACが存在すれば、作戦成功率は下がる。それでもマッハは敵ACの存在を望む。何故か、これについての答えは簡単だ。マッハが目指しているのは最強である。最強になるためには、ACと戦いそして倒す、それしか道は無い。故にマッハはACとの戦いを渇望する。その前にはMTの存在など雑魚以下でしかない。

 通信機に僅かなノイズが走った、誰かが通信を入れてきた証拠だ。

「レイヴン、作戦空域に到達した。これより投下する、準備はいいな?」

「あぁ、もちろん。戦いたくて、俺も機体もうずうずしてらぁ」

「心強い言葉だな。では、検討を祈る。グッドラック!」

 ストレートウィンドBを固定していた拘束具が外れ、輸送機の後部ハッチが開かれる。その先に広がるのは雲ひとつ無い空だった。切り取られた空はあまりにも青く、マッハにはそれが海のように見えた。今からそこに飛び出す、そう考えると心が高鳴る。大空を僅かな時間、それこそほんの数秒ではあるが機体と共に飛べるのだ。きっとそれは、とてつもなく気持ちの良いものなのだろうと思ってしまうのは、レイヴンであるせいなのだろうか。

 もしそうであったとしても、今気にすべきは地上を移動しているはずのクレストMT部隊である。青い空のことや、今の心境などを気にしてはいけない。マッハにとってMTは雑魚だ。だが窮鼠猫をかむという言葉もある、決して油断してはならない。戦場での油断、慢心は失敗を生む。今まで渡り歩いてきた戦場は数知れぬほどだが、この原理はどこにいっても不変であった。

 輸送機の後部ハッチへ機体を歩かせながら戦闘モードへと移行させる。

「ストレートウィンドB、これより降下する」

 そう告げてから、マッハはアクセルペダルを踏み込んでブースターを噴かせた。加速のついた状態で機体は大空へと飛び出した。眼下に広がるは荒野、かなり高度は高いらしい。モニターを拡大してみても、何があるのかが分からない。パラシュートなんて付いていない機体制御を誤れば、着地と共にバラバラになることだって有り得る。

 心臓が一際大きく鼓動した。ドクン、とマッハの全身に新たな血が流れる。頭の中が澄み渡っていくのを感じる。機体だけでなく、マッハ自身も戦闘に入る準備が完了したようだ。

 高度が下がる。時折ブースターを噴かして落下速度を調節しながら、目視でクレストMT部隊を探す。レーダーよりも、見える範囲の方が広い。さらに高度が下がった時、機体前方に編隊を組みながら進むMTを発見した。距離はかなり遠いらしい、レーダーをみるが、まだ敵を示す赤の光点は映らない。

 マッハは短く息を吸った後、オーバードブーストを起動させた。モニターに映る景色は一瞬で後ろへ飛んでゆく。全身に激しいGがかかるが、それが心地よい。アドレナリンを初めとした様々な脳内麻薬が分泌されているに違いない。

 モニタに映るMTの姿は見る間に大きくなる。敵にも捕捉されたらしく、後方を担当している機体が背後を振り向こうとしたがその時にはもうストレートウィンドBはその機体の横を通り過ぎていた。エクステンションに装着している補助エネルギー装置を使用してエネルギーを回復させ、先頭を進む隊長機らしい人型MTの前に躍り出ると共に、ブレードを発生させて左脚だけを着地させる。

 脚部に衝撃を感知したOSがオーバードブーストを強制解除するが、推力はまだ残っている。その残された推力は機体を高速で回転させた。発生させていたブレードがMTの腹部に食い込み、両断。そして爆発。その衝撃と破片で損傷率が僅かに上昇するが、気にするほどでもない。

 改めてみれば、クレストのMTは残り四機。機種はMT85Mで統一されている。数が揃っていれば脅威となる機種ではあるが、四機程度では足止め程度しかならない。しかも、敵部隊は奇襲を受けて尚且つ隊長機が撃破されたせいか編隊が乱れ浮き足立っているように見える。中には後退するつもりなのか、後ずさりしている期待もある始末だ。

 既に隊長機を撃破して二秒ほど経過しているが敵部隊に動きは見えない。何をどうしていいのか分からないのか、それとも状況が理解できないのか。どちらにせよ、撃墜するのならば抵抗のないうちに行いたい。そうすれば損傷は最小限に抑えられ、費用も抑えられる。

 ペダルを踏み込み、ブースターを噴かして加速、手近にいた一気に接近しブレードを振りぬいた。その行動によって敵パイロット達は我に帰ったらしい、全ての機体の銃口がストレートウィンドBに向けられる。彼らの銃口が火を噴くよりも早く、事前にロックしておいた一気に向かってミサイルを放つ。敵機は回避行動を取るも、速度は遅くまた距離も近い。放ったミサイルは全て命中した。その敵機がどうなったかを確認する間も無く、機体を上昇させた。

 ストレートウィンドBのいた場所に弾着の煙が巻き起こる。残った二機のMTのうち正面にいた一機にオービットを放った後、方向を変えて残った一機を正面に捉える。オービットに狙われた敵機が撃破されたらしく、外部マイクが爆発音を拾ったがマッハの耳には入っていなかった。

 最後の一機が銃口を空中にいるストレートウィンドBに向ける頃には、既に着地しておりライフルをその機体に向けて撃っていた。数発のライフル弾を受けたMTは黒煙を上げてその機能を停止させた。レーダーを確認するが、接近している敵機も無く今しがた戦ったMT部隊の反応は全て消えている。

 これでこのミッションは完了した。後はオペレーターと雇い主であるミラージュ軍に連絡を入れれば手続きの上でも終了となり、マッハの銀行口座に成功報酬が振り込まれることになる。

 簡単な任務だった、そう思いながらオペレーターであるナターシャに通信を入れようとしたのだが、マッハが通信を入れる前にナターシャの方から通信が入った。マッハは溜め息を一つ吐いた。オペレーターから通信が入る時は、ろくでもないときばかりだ。つまり増援が来るということ。増援そのものは大歓迎なのだが、終わったと思ったその時に来るのは勘弁願いたい。せっかくの達成感が台無しになるからだ。

/3

「敵ACを確認。イリスです」

「イリス……あぁ、レッドレフティか……ところで撤退は、認められるのかな?」

「レイヴン、冗談は止してください。依頼主が命令を出していない以上、認められるわけがありません」

「そうだよなぁ」

 と小声で呟いてからレーダーを確認すればまだ反応は無い。だからといって近くにいないというわけでは無いだろう。ストレートウィンドBに搭載されているのは頭部に付属しているもののみ、肩に搭載するタイプと比べれば性能は劣る。また長年使い続けているせいで、通常のXS−EYE2と比べても精度が少し悪い。

 オペレーターの方で確認できているということは作戦領域の側には来ているということだろう。ミストレスの機体、イリスの機動性を考えれば既に交戦状態に入っていてもおかしくない。しかしレーダーに反応も無ければ、目視で見える範囲内にもそれらしき姿は見当たらない。

 彼女とは私生活での付き合いもあり且つアリーナ及び戦場で何度か交戦したこともあるが、このようなパターンは始めての経験だ。いつもならば急速接近そしてトップアタックが彼女の定石なのだが、今回はやってこない。流石に何度も銃火を交えているだけあって読まれていると感じたのだろうか。

「やっちまったな……」

 呟いた後、これは負けだと確信した。まだ姿を確認したわけではないし、交戦もしていない。だというのに、主導権を向こうに握られてしまっている。これでは勝てない。額、そして背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。

 しかしここからどうすればいいものかが解らない。戦場に不測の事態はつきものだが、完全に失念していた。心臓の鼓動音が大きくなったように感じられた。焦るな、と胸中で呟き深呼吸。それを終えるかどうかというタイミングだったろうか。耳に今まで聞こえていなかった音が聞こえた。それが何の音か考えるよりも早く体は動いていた。ペダルを踏み込み、とりあえず前方に逃げる。後ろからは弾着の音が聞こえた。

 即座に反転するがそこには何もいない。視界を上げれば左腕だけを赤く染めた黒いACが両手に装備した銃をこちらに向けて飛んでいた。ブースターを使って飛んでいるとは思えない軽やかな機動。もし彼女が見方であったのならきっと見ほれていたことだろうが、今は死神にしか見えない。

 イリスの銃口が火を噴く、最小限の動きで回避行動を取るが動きが読まれているように感じる。直撃は無いが、至近弾が多い。毎度の事ながら見事としか言いようが無いと共に、これがランキング一桁台の実力、今目指しているものの姿なのかと思う。

 反撃しようと試みるが、イリスの動きが速すぎモニターに捉えるのが精一杯だ。ECMメーカーをばら撒いて撹乱しようにも、周囲に障害物は無いため効果は薄い。だが何もせずに回避し続けることは出来ない。至近弾の数は増えてきており、直撃を食らうのも時間の問題だ。またエネルギーの残量が心許ない、補助装置があるにはあるがそれだって時間の問題だ。

 イリスの高度が下がり、着地。硬直した様子は無いが、攻撃の手が緩まった。ここしかない。エクステンションを起動、エネルギーを回復させた後にオーバードブーストを起動させる。発動する頃にはイリスはまた上空へと舞い戻っているが、高度はまだ低かった。これなら追いつける。

 マシンガンとパルスキャノンが装甲を穿ち、焼く。コンソールパネルに表示されている損傷率の値を視界隅に入れそれも考慮しながら接近。ここに来てようやくロック完了。こちらの思惑に気付いたのか、イリスが後退しようとするがオーバードブーストと通常のブースターでは速度が違う。加えて動きを制限させるためにオービットを射出。イリスの動きが鈍る。接近戦の間合いまで持ち込み、ブレードで斬りかかったが、そこにイリスの姿は無い。即座にオーバードブーストを解除。

 反射的に上を見たが、青空が広がるだけで無骨なACの姿は見えない。となれば、下しか無い。確認するよりも早くに下部からの衝撃。空中でバランスを崩し、そのまま落下、地面に激突。激しい衝撃に体が揺さぶられ吐き気が込み上げる。一瞬とはいえモニターもブラックアウト、再び灯った時には衝撃でひびが入っていた。

 レーダー画面を見ればノイズも映らない。破壊されたか。モニターがまだ生きていることを考えればそれほど酷くは無いだろうが、レーダー機能が完全に死んでいることを考えれば修理で済むような問題では無いだろう。ハッチが開くか不安だったが、通常の手順で開いてくれた。

 外に出ると機械油の臭いが鼻についた。格納庫で嗅げばどうということのない臭いだが、戦場で嗅ぐと敗北の臭いのようにしか感じられなかった。イリスはうつ伏せに倒れるストレートウィンドBのすぐ脇に立っていた、その頭部の横にヘルメットを取ったミストレスが立っていた。表情はよく見えないが、風にたなびくブロンドの髪は神々しいほど美しく威厳に満ちている。

 マッハは溜め息を一つ吐いてヘルメットを脱いで、ミストレスを見上げる。表情は見えないが、どうも彼女はご立腹のご様子である。先頭の内容が気に食わなかったようだ。今、傷一つ無い状態でいられるのもきっと彼女が本気で戦わなかったからだろう。でなかったらストレートウィンドBももっと酷い状態になっているはずだし、怪我なしでは済まない。

 さてどうしたものかと考えていると、ミストレスはイリスのコクピットに戻った。イリスのカメラアイに光が灯り、ストレートウィンドBのコクピットから通信機のノイズ音が聞こえた。ミストレスからの通信以外に有り得ない。

「私の認めたレイヴンならば、もう少し愉しませてくれないと困る」

「安心しろ、今晩ベッドの上でたっぷりと愉しませてやるから」

「なら楽しみにしておこう。だがな、どうやって帰るつもりだ?」

 言われて操縦桿を動かしてみたが、機体は動こうとするだけで立ち上がれそうに無かった。操作系もしくは駆動系のどこかがやられたらしい。

「救難信号を出しておけばアーク連中が救助に来てくれるだろうな。また今晩会えたら会おう」

「えっ、あっちょっと!」

 声を掛けてはみたが、既に向こうは通信機を切ったのかそれとも聞く耳を持ってくれなかったのか反応が無い。直後にオーバードブーストの持つ独特の音が聞こえ、慌ててコクピットから飛び出したが既にイリスの姿は見えない。相変わらずお早いことだ。しかたなく、コクピットに戻った後に救難信号を発信し、小物入れから煙草とを愛用のオイルライターを取り出し外に出た。

 パイロットスーツの胸元を開けると、入ってくる風が心地よいと言えば心地よかった。煙草を吸いながら空を仰ぎ見れば、相変わらず青かった。雲ひとつ無い。

「あ〜あ、暇だ」

 マッハは一言だけ呟いた。

登場AC一覧 括弧内はパイロット名
ストレートウィンドブラック(マッハ)&LE005c002zw00Ewa00s0E42woa29Y1ewws0sd34#

イリス(ミストレス)&Le000b0003w000A000k00700o02jUtJOOM0lk71#

あとがき
久方ぶりのAC小説です。本来ならFINALを書くべきなんでしょうが、サイト新設記念ということで。UNDER RAVENSでやろうとしていたことをこっちでやろうと思います。だから今後はレオニスメインで書いていこうかな? そっちの方が面白そうだし、短編で続けていけそうだしね。
まぁ、長編やる気力がないだけですが(笑)
ちなみに、マッハ=ミカミ ミストレス=アルテミスです


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